不正行為に関わる審議結果と再発防止のための取り組み
JOPT Season 20: Grand Final Day 2で、プレイヤー間で意図的にチップを移動する不正行為(チップダンピング)がありました。
この不正行為に対しては、トーナメント中にトーナメントディレクターから裁定を下していますが、その裁定に対する疑義があることから、事実関係を確認し、日本ポーカー連盟や海外トーナメントディレクターなどの意見を参考に、裁定内容が正しかったか改めて審議しました。
その結果、今回の裁定は公正性に損なうものであり、誤りであると結論づけました。
誤った裁定により、トーナメントに影響があるなど、プレイヤーの期待に沿わない形になってしまったこと、関係者の皆様にご迷惑をおかけする結果となってしまったことについて、深くお詫びいたします。申し訳ございません。
また、不正行為に関与したプレイヤー2名に対しては、イベントの参加資格を一時停止する追加ペナルティーを課すこととします。
今回の経緯と裁定、審議結果、再発防止のための取り組みについてご報告します。
2021.08.06 19:00
宮田 達宗
イベントディレクター
Japan Open Poker Tour
不正行為への裁定について
経緯
規定チップ数(30万点・100万点)に達したプレイヤー各3名を表彰する新しい取り組み「スプリンター賞」の獲得方法について、プレイヤーから「意図的にチップ渡して賞を獲得し、その賞をディールできるか?」と質問がありました。これに対して、フロアパーソンは「ディールはできない。送られるゲームマネーはプレイヤーのアカウントに入るため、その後は認知しない」と回答しました。
この回答を受けてプレイヤーは、同じテーブルのプレイヤーに対して「チップを一時的に貸して欲しい。スプリンター賞のプライズは、チップ量に応じてディールしよう」と持ちかけ、合意したプレイヤーとの間で16万点のチップダンピングが行われました。
不正行為があったゲームでポットが授与され、次のゲームのハンドが配られた状態で、同じテーブルのプレイヤーから異議があったため、ゲームが止められた状態で、フロアパーソンが呼ばれ、トーナメントディレクターが呼ばれ、次のような裁定がありました。
裁定
チップダンピングを受けたプレイヤーは、スプリンター賞の獲得方法についてフロアパーソンに確認したとの主張していると説明を受け、事実であれば、運営側の責任があり、裁定の際に考慮すべきであると判断しました。
一方、すでにゲームの中断が長引いていること、フロアパーソンへの事実確認にも時間を要することから、最終的な裁定は後ほど行うとした上で、ゲームを再開するという指示しました。また、共謀したプレイヤーが同じテーブルでプレイを継続することを避けるため、不正にチップを受けたプレイヤーを別のテーブルに移動するよう指示しました。
その上で、獲得方法について回答したフロアパーソンから、チップダンピングのと思われる行為に対して明確に否定しなかったことを確認しました。
これらのことから、プレイヤーへの適切ではない回答があったことを考慮し、失格にはせず、スプリンター賞の授与権利を剥奪すると裁定しました。
審議結果
今回の裁定は公正性を損なうもので、不正行為に関わったプレイヤー2名を失格にすることが適切であると結論づけました。
不正行為(チップダンピング)における標準的な裁定は、関与したプレイヤーの失格とし、失格となったチップはトーナメントから取り除くものです。
たとえ、フロアパーソンから適切ではない回答があったとしても、不正行為を認めることを保証するものではなく、JOPTトーナメントルールでも「トーナメントディレクターはフロアパーソンの決定を取り消す権利がある」としていることから、今回の不正行為に対しては、失格としなければ公正性に欠けると判断しています。
追加のペナルティー
不正行為に関わったプレイヤー2名には、次の追加ペナルティーを課すこととします。ただし、確定した順位とプライズ(選手契約)は変更しません。
チップを受け取ったプレイヤー:
チップの不正な受け渡しについて提案し、実際に受け取ったとして、6ヶ月間JOPTへの参加資格を停止する。
チップを渡したプレイヤー:
チップを不正に渡したとして、3ヶ月間JOPTへの参加資格を停止する。
今後の取り組み
JOPTでは、今回の問題再発を防ぎ、公正な競技運営を行うため、次について取り組みます。
- トーナメントディレクター及びフロアパーソンを対象に、適切な運用のための勉強会を実施すること。
- ディーラーやプレイヤーを対象に、トーナメントルールの確認や質疑応答の講習会を実施するなどし、正しいルールの周知活動を行うこと。
- ペナルティーの可能性があるプレイについて紹介するウェブページを作成し公開すること。